⑧(備忘録)ダークマターの正体と宇宙の構造
※これは、とあるDiscord内の勉強会で議論した内容の備忘録です。話の理解がまだ曖昧だったり、結論が出ていない部分も多々あるかと思いますが、ご容赦ください。
宇宙に存在する「見えない物質」
前回は、宇宙の未来を決定づけるかもしれないダークエネルギーについて考えました。今回の勉強会では、もう一つの謎に包まれた存在、ダークマターに焦点を当てて議論しました。
ダークマターは、私たちの目に見える通常の物質とは異なり、光を発しない、あるいは光とほとんど相互作用しないため、直接観測することができません。しかし、その重力の影響から、宇宙に大量に存在していることが分かっています。
宇宙の全質量の約85%を占めている
そうです。もしダークマターがなければ、銀河が回転する速度を説明できないことが、研究で分かっているそうです。銀河の回転速度は、中心から遠ざかるほど遅くなるはずですが、観測結果では、外側でも高速で回転しています。この速度を維持するためには、目に見えない莫大な質量の存在が必要になる、というわけです。
ダークマターの正体は?
では、このダークマターの正体は何なのでしょうか?
勉強会の先輩方の話では、ダークマターの候補として、主に以下のものが挙げられるそうです。
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WIMP(Weakly Interacting Massive Particles)
「弱い相互作用をする重い粒子」という意味で、標準模型には含まれない未知の素粒子だと考えられています。宇宙の初期に大量に生成されたと推測されています。 -
アクシオン(Axion)
量子色力学(QCD)のCP対称性の問題という、別の物理学の課題を解決するために提唱された、非常に軽い素粒子です。
これら以外にも様々な候補があるそうですが、まだどれも決定的な証拠は見つかっていません。世界中の研究者が、地下深くに設置された実験装置や、宇宙望遠鏡などを使って、このダークマターの痕跡を捉えようと研究を続けているそうです。
宇宙の大規模構造とダークマター
ダークマターの存在は、銀河の回転だけでなく、宇宙の大規模構造の形成にも深く関わっているという話を聞きました。
ビッグバンの後、宇宙はほぼ均一な状態でした。しかし、わずかな密度のゆらぎが、重力によって次第に集まり、銀河や銀河団といった大規模な構造を形成しました。このプロセスは、通常の物質だけでは説明できないそうです。なぜなら、宇宙の膨張が非常に速いため、通常の物質の重力だけでは、これほど大規模な構造を短時間で形成することは不可能だからです。
ダークマターの重力が、銀河や銀河団の「骨組み」となり、通常の物質を効率的に引き寄せることで、宇宙の壮大な構造を形成した
と考えられています。まるで、ダークマターが宇宙の目に見えない「地図」を作り、その上に銀河が星々として描かれているようです。
まとめと今後の課題
今回の勉強会で、ダークマターという見えない物質が、宇宙の質量の大部分を占め、銀河の回転や、宇宙の大規模構造の形成に不可欠な存在であることが分かりました。その正体はまだ謎に包まれていますが、その解明が、標準模型を超える新しい物理学につながる可能性を秘めていることを知りました。
これで、時間から始まり、相対性理論、エントロピー、量子論、重力、ダークエネルギー、ダークマターと、一通りの壮大なテーマを巡ることができました。
しかし、これらの知識はまだ点と点に過ぎないかもしれません。次回は、これらの点と点を結びつけ、「宇宙の始まりは、どうして起こったのか?」という、最も根本的な疑問に立ち返って、これまでの議論を総括してみたいと考えています。
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