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相対論ノート#7:4元速度と4元運動量

相対論
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あくまで個人的にまとめたノートなので、誤っている箇所があるかもしれません。参考にする際は内容の正当性について注意してください。もし誤っている箇所があればご指摘いただけたら嬉しいです。

前回は「双子のパラドックス」「ローレンツ収縮」について解説しました。

今回は、特殊相対性理論の概念をさらに深めるために、「4元速度」「4元運動量」について掘り下げていきたいと思います。

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4元速度 (Four-velocity)

4元速度とは、粒子の固有時間あたりの座標変化として定義される概念です。これは直感的には、「自分自身が持っている時計が1秒進んだ時に、外の空間の座標がどれだけ変化するか」と考えることができます。

4元速度は、普通の3次元空間の速度のように4つの成分からなるベクトルで、以下のように定義されます。

$$V^\mu = \frac{dx^\mu}{d\tau}$$

ここで、$x^\mu$は4次元時空の座標($x^0 = ct, x^1 = x, x^2 = y, x^3 = z$)であり、$\tau$は固有時間です。この定義から、4元速度の各成分は以下のように計算できます。

$$V^0 = \frac{dx^0}{d\tau} = \frac{c \, dt}{d\tau}$$
$$V^i = \frac{dx^i}{d\tau} = \frac{dx^i}{dt} \frac{dt}{d\tau} = \frac{dt}{d\tau} v^i$$

ただし、$v^i = dx^i/dt$は通常の3次元速度の成分です。ここで、時間の遅れの関係式$dt = \gamma d\tau$を用いると、

$$V^0 = \frac{c \, \gamma d\tau}{d\tau} = c\gamma$$
$$V^i = \frac{\gamma d\tau}{d\tau} v^i = \gamma v^i$$

となります。したがって、4元速度は$V^\mu = (\gamma c, \gamma v^1, \gamma v^2, \gamma v^3)$と表せます。この式から、3次元速度がゼロ(静止)であっても、4元速度のゼロ成分$V^0$はゼロにはならないことがわかります 。これは、物体が静止していても時間が経過することを意味しています。

4元運動量 (Four-momentum)

4元運動量は、質量に4元速度を掛けることで定義されます 。これは、ニュートン力学における運動量の概念を相対性理論に拡張したものです 。

$$P^\mu = m V^\mu$$

これを4元速度の成分を用いて書き直すと、

$$P^\mu = m(\gamma c, \gamma v^1, \gamma v^2, \gamma v^3) = (\gamma mc, \gamma mv^1, \gamma mv^2, \gamma mv^3)$$

となります。ここで、各成分について見ていきましょう。

    • 空間成分($P^i$$P^i = \gamma mv^i$は、通常の運動量に$\gamma$を掛けたものです。速度$v$が光速よりも十分に小さい場合、$\gamma \approx 1$となり、ニュートン力学の運動量$mv$に一致します 。
    • 時間成分($P^0$$P^0 = \gamma mc$は、光速$c$を掛けることで、相対論的なエネルギーとして解釈できます 。

特に、物体が静止している場合($v=0$)、$\gamma=1$となり、$P^0 = mc$となります。この時間成分に$c$を掛けると、有名な「静止エネルギーの式」である$E = mc^2$が得られます 。これは、物体が静止していてもエネルギーを持つことを示しています。

次回のノートでは、これらの概念をさらに発展させ、「保存カレント」と「保存チャージ」についてまとめていきます 。

参考文献

記事を書くときに、部分的に参照したので載せておきます。

    1. 一般相対論入門 改訂版 : [須藤 靖 (著)]
    2. 第3版 シュッツ 相対論入門 I 特殊相対論 : [江里口 良治 (翻訳), 二間瀬 敏史 (翻訳), Bernard Schutz (著) ]
    3. 第3版 シュッツ 相対論入門 II 一般相対論: [江里口 良治 (翻訳), 二間瀬 敏史 (翻訳), Bernard Schutz (著)]
    4. 相対性理論入門講義 (現代物理学入門講義シリーズ 1) [風間 洋一 (著)]
    5. 基幹講座 物理学 相対論 [田中 貴浩 (著)]
    6. 時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎[James J. Callahan (著), 樋口 三郎 (翻訳)]
    7. これならわかる工学部で学ぶ数学 新装版: [千葉 逸人]
    8. 基幹講座 物理学 相対論: [田中 貴浩]

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