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相対論ノート【補足】重力波 – 第35回

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あくまで個人的にまとめたノートなので、誤っている箇所があるかもしれません。参考にする際は内容の正当性について注意してください。もし誤っている箇所があればご指摘いただけたら嬉しいです。

今回は、一般相対性理論の最も劇的な予言の一つであり、その最終的な検証となった「重力波」について補足解説していきます。

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重力波とは

重力波(Gravitational Waves)は、質量を持つ物体が加速運動する際に、時空の歪みがさざ波のように光速で伝わる現象です。

これは、池に石を投げ込むと波紋が広がるのと同じように、時空という「布」に生じた歪みが伝播していくとイメージできます。重力波は、以下のような極めてダイナミックな宇宙現象によって発生すると考えられています。

  • 連星系をなす中性子星ブラックホールの合体
  • 超新星爆発のような大規模な現象

重力波は、アインシュタイン方程式の線形化という近似計算から予言されました。重力が非常に弱い場合、アインシュタイン方程式は波動方程式と似た形になり、時空の歪みが波として伝わることを示唆しました。

重力波の検出

重力波は非常に微弱なため、その直接的な検出は極めて困難でした。重力波が地球を通過すると、時空の歪みによって物質の間の距離がわずかに伸び縮みします。この微細な変化を捉えるために、「レーザー干渉計」を用いた大規模な観測装置が開発されました。特に有名なのが、アメリカのLIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)です。

そして、2015年9月14日、LIGOによって史上初の重力波が直接観測されました。この重力波は、約13億光年離れた場所で2つのブラックホールが合体した際に生じたもので、これはアインシュタインの予言が約100年の時を経て証明された、歴史的な出来事でした。この観測によって、一般相対性理論の正しさが揺るぎないものとなり、宇宙を観測する新たな窓が開かれました。

まとめ

今回は、アインシュタインの理論が予言した「重力波」について解説しました。重力波は、時空そのものが持つ波であり、その検出は重力場が動的な存在であることを示しました。

この初観測は、ブラックホールや中性子星の合体といった、これまで光では見えなかった宇宙のダイナミックな現象を直接探求することを可能にしました。これにより、私たちは宇宙の謎に一歩深く踏み込むことができるようになりました。

参考文献

記事を書くときに、部分的に参照したので載せておきます。

    1. 一般相対論入門 改訂版 : [須藤 靖 (著)]
    2. 第3版 シュッツ 相対論入門 I 特殊相対論 : [江里口 良治 (翻訳), 二間瀬 敏史 (翻訳), Bernard Schutz (著) ]
    3. 第3版 シュッツ 相対論入門 II 一般相対論: [江里口 良治 (翻訳), 二間瀬 敏史 (翻訳), Bernard Schutz (著)]
    4. 相対性理論入門講義 (現代物理学入門講義シリーズ 1) [風間 洋一 (著)]
    5. 基幹講座 物理学 相対論 [田中 貴浩 (著)]
    6. 時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎[James J. Callahan (著), 樋口 三郎 (翻訳)]
    7. これならわかる工学部で学ぶ数学 新装版: [千葉 逸人]
    8. 基幹講座 物理学 相対論: [田中 貴浩]

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