同じ数を”かける”様な状況では,累乗や指数について知っておくと便利です.
累乗
同じ数を”かける”場合に,累乗の表記をすると簡潔に記述できます.
例えば2 × 2 × 2 × 2という計算の際には,24と記載します.この表記は「2を4回かけている」というように考えて,かける数の回数を右上に記載し,“2の4乗”と読みます.
このように,同じ数をいくつか”かけた”ものを「その数の“累乗”」といいます.四則演算の記載箇所でも述べたように,計算には優先順位がありますが,累乗は優先度が高く一番最初に計算をします.1
指数法則
「aという数をn回かける」ような状況を考えてみましょう.
具体的に記載すると, $\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{n回}}$ となります.
この時,a × … × aという「aをn回”かける”ような演算」をanと表し,特にaの右上に書かれた数を“指数”といいます.2
指数 aをn回”かける”ような演算
$\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{n回}}=$
と表し,an中の,”かけられる数a”を【底(てい)】といい,
右上に書かれる”かける回数n”を【指数】といいます.
ここで,もしnを自然数から”実数”へと拡張すると,より使いやすく便利に扱えるようになるでしょう.
今回は,あくまで便利な表記を使うことが目的ですから,詳細には立ち入りません.3
指数の法則性 ここでa ≠ 0 b ≠ = 0 m, n ∈ ℕとします.4
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am × an = am + n
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$\frac{a^m}{a^n}=a^{m-n}$(ただしm > n)
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(am)n = amn
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(ab)n = anbn
【説明】
am × an = am + n
$\underbrace{a×\dots ×a}_{\text{m}}\times
\underbrace{a×\dots ×a}_{\text{n}}= \underbrace{a×\dots
×a}_{\text{m+n}}$$\frac{a^m}{a^n}=a^{m-n}$(ただしm > n)
m > nなのでmの中にはnも含まれているはずなので,mからnを分離して記述すれば,
$\frac{a^m}{a^n}=a^{m-n}$
= $\frac{\overbrace{a×\dots
×a}^{\text{(m-n)回}}×\overbrace{a×\dots ×a}^{\text{n回}}}{
\underbrace{a×\dots ×a}_{\text{n回}}}$5
=$\frac{\overbrace{a×\dots
×a}^{\text{(m-n)回}}×\cancel{\overbrace{a×\dots
×a}^{\text{n回}}}}{\cancel{\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{n回}}}}$
=$\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{(m-n)回}}=a^{m-n}$(am)n = amn
(am)nは,まずamという「aをm回かけている」ことを表す演算があり,その演算が更にn回繰り返されていると考えることが出来ます.
まず, (am)n=$\underbrace{a×\dots ×a}_{\text{m回}}$
となります.
そして,この演算がn回繰り返されているので,
$\underbrace{\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{m回}}×{\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{m回}}×\underbrace{a×\dots
×a}_{\text{m回}}}}_{\text{n回}}$=$\underbrace{(a^m)×(a^m)×(a^m)}_{\text{n回}}=a^{mn}$
ゼロ乗の場合
原則として,anの底aはa > 0(つまり正の実数)として負の場合については計算として不都合が生じるので考えません.
また,aを0回かけるとき,つまりa0については以下のように定めます.
0乗の定義 a > 0を満たす,あらゆるaに対して, a0=1 と定義します.
【説明】a0
例えばある数amに対して,a0をかけた場合を考えてみましょう.
この場合は,先ほど出てきた指数の法則性から底が同じ値の計算は
「am × an = am + n」と記述できますから,
(am) × (a0)=a(m + 0)=am となります.
ここで,amに掛け算をしても値を変えない数値というのは,1しかないでしょう.
ここから, と定義するのが合理的だという結論が分かります.
マイナス乗の場合
a0を定義することによって,指数がマイナスになる場合についても考えることが出来ます.結果だけを先に示すと,
マイナス乗の定義 a > 0を満たす,あらゆるaに対して,
【説明】a(−m)
例えば,amという値に対して,a(−m)という値を考えてみましょう.
指数の法則性である「am × an = am + n」から,amとa(−m)の積を計算すると
am × a(−m)=a(m + (−m))=a0=1 となります.
ここからa(−m)は,amと
かけ合わせると1となってしまう値だと分かります.
かけ合わせて1になる数というのは,かけられる数の【逆数】だと分かりますから, です.
分数乗の場合
指数の法則性から分数乗の値も考えることが出来ます.まずは結論だけを示すと,
分数乗の定義 a > 0を満たす,あらゆるaに対して,
【説明】$a^{(\frac{1}{m} )}$
$a^{(\frac{1}{m}
)}$という値に対して,m乗した場合の値がどうなるのかを考えてみましょう.
指数の法則性である「(am)n = amn」から,$(a^{(\frac{1}{m})})^m$の積を計算すると
$(a^{(\frac{1}{m})})^m$=$a^{((\frac{1}{m})\times m)}$=a1=a となります.
ここから$a^{(\frac{1}{m})}$は,m乗するとaとなってしまう値だと分かります.
m乗するとaになる数というのは,根号で です.
例えば$\sqrt{2}$は「2乗すると2となる数」ですし,$\sqrt{3}$は「2乗すれば3となる数」で,普段は省略されているものの明示的に書けば$\sqrt[2]{n}$となります.この表記では「2乗するとnになる数」を表しています.ほかにも$\sqrt[3]{n}$は「3乗するとnになる数」,$\sqrt[4]{n}$は,「4乗するとnになる数」とかけます.
以上のことから$\sqrt[m]{a}$は「m乗するとaになる数」なので,$a^{(\frac{1}{m})}$=$\sqrt[m]{a}$です.
<補足部分>
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累乗も考慮すると計算の順番は,
①累乗のついている箇所の計算
(ただし,括弧の外に累乗がついている場合には,カッコの中身の計算を行った後に累乗を計算します.)
②括弧のついている箇所の計算
③四則演算
となります.↩︎ -
”かけた”個数を指数という見方ができるので,ここまでの段階ではnの値は基本的に自然数です.↩︎
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詳細が気になる方は,高等学校の教育課程である【数学Ⅱ】や【数学ⅡB】の指数関数・対数関数の項を参照してみてください.↩︎
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m, n ∈ ℕは「m,nは自然数(に含まれる)」ということを表します.他にもℤなら「整数」,ℝなら「実数」を表します.↩︎
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mを(m-n)とnに分離しています.実際に(m−n)とnを足し合わせると,{(m−n)+n=m}となります.↩︎
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