「対数の底の変換式」を基本的要請より導出
公開日: | カテゴリ: #高校数学
はじめに
対数を扱う際に「底の変換」を行う機会は多いです。
大学受験や高校の教科書でも扱う内容ですが、私自身はよく忘れてしまうので、基本的な要請から導出できる方法を記述して備忘録とします。
今回の記事は対数の基礎については既知としています。
底の変換式導出の流れ
目標:$\log_{a}x=\frac{\log_{b}x}{\log_{b}a}$
- 特定の制限の元で対数同士の比例関係を要請
- 真数の異なる2つの関係式から代数的に1つの式に
- 求めたい底の値と進数を同じ値に設定する
- 「底の変換式」が求まる
導出
1.特定の制限の元で対数同士の比例関係を要請
【要請】
・真数条件に従う任意の対数同士は比例関係にあるとします。
こちらの要請については、
対数$y=\log_{a}x$が「$a$という値を、$y$乗すれば $x$となる」という事から、
「\(a,x,y\)を適切に選べば様々な比例関係も表せそう」
だという直感からくるものですし、実際に自然な要請と言えるでしょう。
(※ちなみに、”適切に選べば”というのは例えば「真数条件に注意をする」など制限の元という意味です。)
2.真数の異なる2つの関係式から代数的に1つの式に
こちらの要請については、
対数$y=\log_{a}x$が「$a$という値を、$y$乗すれば $x$となる」という事から、
「\(a,x,y\)を適切に選べば様々な比例関係も表せそう」
だという直感からくるものですし、実際に自然な要請と言えるでしょう。
(※ちなみに、”適切に選べば”というのは例えば「真数条件に注意をする」など制限の元という意味です。)
「要請」から、底の変換について考えたいので、底の異なる2組の対数の比例関係を考えてみましょう。
$\log_{a}(x)=\log_{b}(x)$…(1)
$\log_{a}(y)=\log_{b}(y)$…(2)
(※底について考えたいので、どちらの式も左右で真数は揃えています。)
(2)式は、適切な値を考えれば、逆数でも関係が成り立つので
$\frac{1}{\log_{a}(y)}=\frac{1}{\log_{b}(y)}$…(3)
(ただし、今回に限り$\log_{a}(y)$および$\log_{b}(y)$は0にはならないと設定します。)
ここで、両辺に同じ数をかけても式は成り立つことから、(1)式の両辺に
$\frac{1}{\log_{a}(y)}$をかけます。
$\log_{a}(x)×\frac{1}{\log_{a}(y)}=\log_{b}(x)×\frac{1}{\log_{a}(y)}$
(3)式から
$\log_{a}(x)×\frac{1}{\log_{a}(y)}=\log_{b}(x)×\frac{1}{\log_{b}(y)}$
となります。
改めて上記の式を整えて書けば、
$\frac{\log_{a}(x)}{\log_{a}(y)}=\frac{\log_{b}(x)}{\log_{b}(y)}$…(4)
となります。
3.求めたい底の値と進数を同じ値に設定する
$\log_{a}(x)=\log_{b}(x)$…(1)
$\log_{a}(y)=\log_{b}(y)$…(2)
(※底について考えたいので、どちらの式も左右で真数は揃えています。)
(2)式は、適切な値を考えれば、逆数でも関係が成り立つので
$\frac{1}{\log_{a}(y)}=\frac{1}{\log_{b}(y)}$…(3)
(ただし、今回に限り$\log_{a}(y)$および$\log_{b}(y)$は0にはならないと設定します。)
ここで、両辺に同じ数をかけても式は成り立つことから、(1)式の両辺に
$\frac{1}{\log_{a}(y)}$をかけます。
$\log_{a}(x)×\frac{1}{\log_{a}(y)}=\log_{b}(x)×\frac{1}{\log_{a}(y)}$
(3)式から
$\log_{a}(x)×\frac{1}{\log_{a}(y)}=\log_{b}(x)×\frac{1}{\log_{b}(y)}$
となります。
改めて上記の式を整えて書けば、
$\frac{\log_{a}(x)}{\log_{a}(y)}=\frac{\log_{b}(x)}{\log_{b}(y)}$…(4)
となります。
ここで(4)式で$y=a$の場合を考えてみましょう。
つまり、「$\log_{a}y=\log_{a}a$と$\log_{a}y=\log_{b}a$を考える」ということです。
$y=a$とすれば、
$\frac{\log_{a}(x)}{\log_{a}(a)}=\frac{\log_{b}(x)}{\log_{b}(a)}$
となります。
4.「底の変換式」が求まる
つまり、「$\log_{a}y=\log_{a}a$と$\log_{a}y=\log_{b}a$を考える」ということです。
$y=a$とすれば、
$\frac{\log_{a}(x)}{\log_{a}(a)}=\frac{\log_{b}(x)}{\log_{b}(a)}$
となります。
底と真数が同じ値の場合、つまり$\log_{a}a$は$1$なので、
$\log_{a}x=\frac{\log_{b}x}{\log_{b}a}$…■
■式はまさしく、底の変換式です。
$\log_{a}x=\frac{\log_{b}x}{\log_{b}a}$…■
■式はまさしく、底の変換式です。
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